【ネタバレ考察】雨穴さん『変な絵』を読んだ正直な感想は？

ポチップ

私が『変な絵』を手に取った理由

まず，私が『変な絵』を手に取った理由からご紹介。

この本を手に取った理由は，主に２つあります。

読んだ理由

『変な家』が思いのほか面白かったから
不動産ミステリー以外の雨穴作品ってどんなものかと気になったから

『変な家』が思いのほか面白かったから

一つ目の理由は，

雨穴さんのベストセラーにして映画化も果たした

『変な家』

が思っていた以上に内容が面白く，他の雨穴作品も読みたい！と思ったからです。

『変な家』の原作小説は読みましたか？

もし，「映画しか見てない」「話題で気になっているけどまだ読んでない」という人は，絶対に原作を読んだ方がいいです。

映画版は正直言って賛否両論が分かれていますよね。

「結末を見てガッカリした。」

「ミステリーというよりパニックホラーで残念だった。」

という声もちらほら。

ですが，原作小説は期待通りあるいはそれ以上にミステリー要素満載で，「不動産ミステリー」という新感覚の推理を楽しめる作品でした。

たい

流行っている理由に納得しました

それでもクライマックスや事件の真相については賛否両論ありますが，その点はぜひ自分で読んで判断してほしいと思います。

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そんなこんなで私自身は『変な家』をすごく気に入ったので，

他の雨穴作品も読み広げてみたいな〜

とぼんやり思っていた矢先，書店で『変な絵』を見つけたのがきっかけでした。

なお，こちらの記事で『変な家』のネタバレ考察もしているのでぜひチェックしてみてください！

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不動産ミステリー以外の雨穴作品ってどんな感じなの！？

２つ目の理由は，

雨穴さんの不動産ミステリー以外のテイストが気になったからです。

私だけでなく，多くの人が

「雨穴さん＝間取りのミステリーの人」

というイメージを抱いていると思います。

それもそのはず，はじめにYouTubeで2000万回再生され，その後に文庫本の発売も決まり，

最終的には豪華キャストによって実写映画化までされ，『変な家』が有名になりすぎたからです汗

そのせいで，雨穴さんの他の作品が埋もれてしまっていますよね。

ですが，もちろん雨穴さんは「間取りミステリー」だけを書いているわけではありません。

他にも自分の幼少期の体験に基づいた「日常生活に潜む違和感」を題材にたくさんのミステリー作品を発信しています。

たい

雨穴さんは自分の実体験を基に作品を描いているんですね！

そんな雨穴さんの独特な世界観をもっと楽しんでみたいと思い，雨穴作品の中で２番目に売れている『変な絵』を読んでみようと思ったのがきっかけでした。

雨穴さんの人生やミステリーへの想いなどをまとめたこちらの記事↓も併せてご覧ください！

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『変な絵』を実際に読んだ感想

まず結論としては，個人的に『変な家』よりもオススメの一冊です。

『変な家』には多少強引な設定があったのですが（あくまで私の感想），

本書『変な絵』はそれが全く無く，身の回りで起こるのではないかとさえ思うリアルな描写が個人的に好印象でした。

本書には『変な絵』が合計で９つも登場するので，正直内容を理解するのは難しかったです。

しかし，最後にそれが全て繋がったときのグロさと恐ろしさ，そして絵の謎が解けたことに対するスッキリ感など，色々な感情が溢れ出し，とてもいい読後感で余韻に浸れた一冊でした。

また本の世界観もかなり作り込まれており，本書『変な絵』のテーマカラーである緑色が頭の中に鮮烈に残りました。

たい

『変な家』のときとは全く違う雰囲気にとてもワクワクしました

『変な絵』の出だし・読むのにかかった時間

『変な絵』の出だしはこんな一節から始まります。

「それではこれから，一枚の絵をお見せします。」

そして次のページに写し出される一枚の絵。

あなたはこの絵を見て，何か違和感を感じますか？

正直言って私は，初めてこの絵を見たとき

たい

ただの可愛い絵じゃん〜

としか思いませんでした。

一見なんの変哲もない一枚の絵ですが，

なんとこの絵を描いた11歳の少女Aは母親を殺害しました。

そしてこの絵にはそれを表す重大な真相が隠されています。

初めて見た時は全く違和感を感じなかったのに，絵の説明を聞くと「確かにおかしい，，，。」となってしまうので不思議です。

その真相の答えだけを知るのではなく，あくまでストーリーを通して自分で考察しながら読んでみて欲しい。

たい

本の長さは合計280ページ，私が読むのにかかった時間は３〜４時間でした！

ちなみに目次はこんな感じ。

早い人なら一晩で読み終われるくらいのボリュームなので，読書の時間がないという方にもオススメできるなと思いました。

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読みたい小説・ビジネス書がたくさんあるけど時間が無い，という方は多いと思います。

私自身も，昔は忙しさを理由に読書を後回しにしていました。

家でゆっくり小説を読む時間がない。

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栗原さん再登場！？

本書には登場人物として「栗原さん」が登場します！

栗原さんとは一体何者かというと，

『変な家』シリーズを読んだ人ならお馴染み，雨穴さんの推理をいつも助けてくれる「オカルト好き建築士」栗原さんです！

初めて読んだ時は驚きましたが，

この本では建築士ではなく，「オカルトサークルに所属するオカルト好きの大学生」として登場していました。

そんなオカルト好き大学生の栗原さんが"奇妙なブログ"を見つけ，そこにアップロードされている不可解な絵と意味深なメッセージを発端に，物語が始まっていきます。

たい

栗原さんの推理力はこのときから健在！

当時大学生と若い栗原さんですが，このときから抜群の推理力を発揮します。

こんな感じで，絵に使われる技法やテクニックをもとに，その絵に隠された糸を紐解いていく様子が面白かった。

『変な家』の原作をまだ読んでない，映画しか見てないという方は，ぜひ『変な絵』とセットで読んでみてると栗原さんの成長っぷりを楽しめると思います笑

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解説・ネタバレ考察

次にここで，『変な絵』の解説およびネタバレ考察をしていきます。

ネタバレ注意

まだ読んでいない，内容を知りたくないという方はスキップしてください！！

ブログ『七篠レン心の日記』のレンは一体何者？

『変な絵』では冒頭で，オカルト好きの栗原が見つけた奇妙なブログ『七篠レン心の日記』が紹介されます。

そしてブログには，レンと妻ユキちゃんとの幸せな日々が綴られていました。

この２人，ひいては隠されていた人物も含め３人の正体が物語終盤で明らかになりました。

それが，

ポイント

・レン　＝　武司
・ユキちゃん　＝　ゆき
・隠された３人目　＝　武司の母直美

です。

ブログを一見するだけでは２人でなかよく暮らしているようにしか思えませんでしたが，実はそこには不自然に隠された３人目，そして物語の重要なカギを握る「直美」が存在していたのです。

確かに物語を一通り読み終わってみれば，ブログの不自然な点もいくつか納得がいきます。

例えば，ユキの妊娠祝いにホールケーキを買った時のブログ。

武司が２切れ，ユキが１切れを食べ，残りの４切れを冷蔵庫にしまったということは，二人は最初にケーキを７等分したということになってしまいます。

しかしケーキを７等分するのはあまりにも不自然。

ですが今考えれば，本当はケーキは８等分されていて，そのうちの１切れを母直美が食べていたということが分かります。

また，ブログを始めた時の出来事も時系列が不自然でした。

ブログの記事を元に時系列を考えると，

武司がブログを書くことを思い立つ。
武司は「ブログに個人情報を載せるのは危ない」と言われる。
武司がユキに「ブログを始めることにしたから似顔絵を描いて！」と頼む。

でした。

しかしこれでは，

ユキは「似顔絵を頼まれた時に初めてブログを書くことを知った」ということになり，「ブログに個人情報を載せるのは危ない」と忠告した人物が誰かわかりません。

今振り返って考えてみると，

それはおそらく武司の母直美が忠告したのだろうと分かります。

もしかしたら直美は，

息子である武司が日常の出来事はもちろん，妻ユキが出産の際に死んでしまうことなどがブログに書かれることで，警察の捜査の手がかりになることを心のどこかで恐れていたのかもしれませんね。

母直美の抱える心の闇

結論，この物語の１番の重要人物は今野直美（旧姓三浦直美）でした。

この物語の中で，直美は合計で５人もの人物を殺害しています。

そして一連の事件は全て，直美が幼少期から抱いてきた歪んだ価値観が原因でした。

直美の「母であること」に対する異様な執着。

それが義理の娘であるユキの殺害に繋がりました。

また直美の「弱いものを守らなければ」という庇護欲。

これが文鳥のちっぴを守るために母を殺害した事件，

息子の武司を守るために夫である三浦義春を山で殺害した事件につながりました。

さらに，殺害には至らなかったものの，

孫である勇太との生活を守るために家に押し掛けてきた新聞記者の熊井を刺し，

また事件の発覚を恐れ，

同じく新聞社で働く新人の岩田を山で殺害し，

また三浦義春殺害事件の真相を知る豊川も殺害し嘘の遺書をワープロで作りました。

たい

こんなに人を殺せるほど人の命を軽視しているのは，幼少期の母から受けた虐待などが関わっているのかもしれない，，，。

三浦家の異常さ

最終的に黒幕が今野直美（旧姓三浦直美）であることが分かり，一連の事件は幕を閉じました。

しかし私は，直美だけではなく，その息子武司（レン）の異常性もかなり印象的でした。

レンは一連の出来事，母直美の犯した罪のことを知って，自ら命を断ちました。

その死ぬ間際に書いたブログ記事が，

今日で，このブログを更新するのを辞めます。

あの３枚の絵の秘密に気づいてしまったからです。

あなたがいったいどんな苦しみを背負っていたのか，僕には理解することができません。

あなたが犯してしまった罪がどれほどのものなのか，僕には分かりません。

あなたを許すことはできません。

それでも，僕はあなたを愛し続けます。

というものでした。

最終的にこのブログ記事は，妻であるユキに宛てられたものではなく，母の直美に対して書かれたものであることが分かりました。

つまり，全ての真相を知ってもなお，武司（レン）は母直美を愛し続けると残して自殺したのです。

生まれた時から父に振り回され，挙句には暴力も振るわれていた武司。

そんな中，いつも優しくしてくれていた母の直美は，絶対的信頼に値する人物だったのでしょう。

別に直美自身は，自分の行き過ぎた庇護欲を武司に押し付けていただけで，後年に自ら「私の教育は間違っていたのかもしれない」と気付いたように，明らかに異常な子育てをしていました。

しかし武司にとってそれは安心感や尊敬などといった気持ちを直美に抱くことに繋がり，

その結果として母の罪を知ってもなお，

「それでも，僕はあなたを愛し続けます。」

などと言えてしまったのだと思います。

本書は『変な絵』それ自体はあまり怖くなく，むしろ謎を解く手がかりとして使用されていましたね。

この本でむしろ怖かったのは，直美の異常性と三浦家の歪んだ構造でした。

たい

むしろこの本こそ『変な家』にした方がいい気が，，，

皆さんもぜひ冒頭を読み直して考察してみてくださいね。

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