村田沙耶香さんの著書『コンビニ人間』のあらすじ・感想をご紹介!
「普通って一体なんなの?」
そんな葛藤を抱くコンビニ店員の主人公。
コンビニバイト歴18年、食べる物も全てコンビニのもの。
夢の中でもレジ打ちをする、そんな"コンビニ人間"の主人公から見た社会は一体どんなものなのでしょうか。
第155回芥川賞を受賞した本作は、
多様性が叫ばれる現代において"普通とは一体何か?"を問いかける衝撃作。
まだ読んでない方は必ず手に取るべき名作小説です。
『コンビニ人間』のボリューム・概要
本書『コンビニ人間』は,合計176ページからなる短めの小説。
管理人はAudibleで読んだのですが,その場合3時間半ほどかかりました。
内容の深さの割に軽めのボリュームとスッキリした読後感があり、
Audibleで聞けばコスパ・タイパ抜群のおすすめの一冊です!
また、目次はとてもシンプルで
目次
- 前半
- 後半
のみとなっています!
後半から物語が急に展開していき、
自分の理解が追いつく前に次々と出来事が降りかかる、スピード感のある一冊。
『コンビニ人間』のあらすじ
第155回(2016年)芥川龍之介賞受賞作
36歳未婚女性、古倉恵子。
大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。
これまで彼氏なし。
オープン当初からスマイルマート日色駅前店で働き続け、
変わりゆくメンバーを見送りながら、店長は8人目だ。
日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、
清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、
毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。
仕事も家庭もある同窓生たちからどんなに不思議がられても、
完璧なマニュアルの存在するコンビニこそが、
私を世界の正常な「部品」にしてくれる――。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は
「恥ずかしくないのか」とつきつけられるが……。現代の実存を問い、
『コンビニ人間』Audibleより
正常と異常の境目がゆらぐ衝撃のリアリズム小説。
『コンビニ人間』という奇妙なタイトルに読む前から期待が高まりますが、
それを簡単に凌駕してくる、衝撃的な結末が待っています。
文庫本であれば600円と、非常にお手頃な価格で読めるのでぜひ!
なぜ私が『コンビニ人間』を手に取ったか?
私はこの本をAudibleで選びました。
この本を選んだ理由は主に2つ。
本書を選んだ理由
- 村田沙耶香作品を初めて読むなら『コンビニ人間』と勧められたから
- 著者の村田さん自身がコンビニで働いていると知ったから
本書の作者村田沙耶香さんの作品は、読む人に衝撃を与えつつも生きるヒントを与えてくれる作品として知られています。
同じ作家仲間の朝井リョウさん・加藤千恵さん・西加奈子さんといった名だたる作家達から「クレイジー沙耶香」と呼ばれるほど、稀有な小説スタイルをもつということで、私自身も兼ねてから注目していました。
しかし、村田沙耶香作品の数はとても多く、
そのどれもで文学賞を受賞していたため、
管理人は一体どの作品から読めばいいか、と迷ってしまいました。
そこで知人に、どの本から読めばいい?と聞いたところ、
と教えてくれました。
そこで早速Audibleで『コンビニ人間』を探してみると、
なんとちょうど無料対象本だったというわけです!
また、、読み始める前に村田沙耶香さんについても色々調べてみたところ、
『コンビニ人間』はコンビニでバイトをしながら書いた作品だとわかりました!!
本作の物語はフィクションであるため、主人公と村田さんの直接的な関係はありません。
しかしストーリーには、きっと村田さんの経験や感じたことが反映されるだろうと思い、これは面白そうだぞ〜ということで本書を手に取りました!
本を読む上での心持ち
本書『コンビニ人間』は、コンビニでパートとして働く独身女性の一人称小説だと予想されます。
したがって本作では「コンビニ店員の視点」「独身女性の視点」が描かれるのはもちろん。
"コンビニ人間"とまで称されるくらい、コンビニ中心の生活を送る主人公の視点が強調して描かれると思います。
私自身、飲食チェーンでアルバイトをした経験はあるものの、コンビニでの仕事は経験したことがありません。
そのため私たちが普段日常的に使っているコンビニの店員がどんなことを感じているのか、とても気になります。
そこで本作を読む際は、コンビニ店員を擬似体験をする気持ちで、
主人公の立場と自分を重ねながら読んでみるのがとてもおすすめです。
『コンビニ人間』の感想
ここからは、実際に『コンビニ人間』を読んだ感想をご紹介します!
一部ネタバレを含むため、まだ読んでいないという人は注意してください!
私が読み終えて最初に感じたことは、
「気持ち悪い」
というものでした。
おそらくこれは主人公の古倉に対してではなく、その周りの人々に対しての感情だと思います。
もちろん古倉も非常に変わった人物であり、
特に幼少期から現れていた暴力的・非倫理的な側面を見た時は、
人として何か重要なものが欠けている印象を与え、とても不気味でした。
しかし、それ以上に古倉を取り巻く同僚や上司、後輩や同級生といった人々の
「普通を押し付けてくる感じ」や「勝手に同情してくる感じ」が本当に気持ち悪かった。
特に、白羽の義妹やBBQで再開した同級生などが古倉に対して発したセリフの数々は、とても私の心を締め付けました。
しかし、当の古倉自身は別に何も感じていなさそうで、そこも古倉の"人間的な何かが欠けている感"を感じさせる描写でした。
この物語は、いわゆる普通の"コンビニ店員"の視点を描いたものではなく、
「普通」を押し付けられる色んな人々から見た、社会の気持ち悪さを描いた物語だと感じました。
Audible版『コンビニ人間』がとても良かった
私は本作『コンビニ人間』をAudibleで読んだのですが、
まだ読んでない方だけでなく、
実はすでに文庫本で読んだ方にもAudibleがおすすめなんです!
なぜなら、Audibleでは今なら無料で『コンビニ人間』が読めることに加え、
なんと朗読を務めるのが、あのオアシズの大久保佳代子さんだからです。
大久保さんの朗読がとても聴きやすく没入感があったのはもちろん。
主人公の古倉と近い年頃の女性ということもあり、本当に古倉が語り掛けているような感覚で物語を楽しめます。
下の公式サイトでサンプル音声も聞けるので、ぜひ無料体験を使って聞いてみてくださいね。
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印象的だった"コンビニ人間"古倉の名言
そんな本書の中で,特に印象的だった主人公古倉恵子の名言をご紹介します。
マニュアルでしか生きられない
完璧なマニュアルがあって、「店員」になることはできても、
マニュアルの外ではどうすれば普通の人間になれるのか、
やはりさっぱりわからないままなのだった。
『コンビニ人間』より
古倉は作中で「コンビニ店員として生まれる前のことはおぼろげで思い出せない」とも述べていました。
マニュアルのない日常では何が普通なのかも分からないまま普通を押し付けられます。
そのため古倉は、幼い頃から自分が周囲の言う"普通"に当てはまらないことは分かるが、具体的にどこが異常であるかは分からないと言う状態でした。
それはすなわち、自分にとって自分は普通でも異常でもないことを意味するので、
古倉にとって自分は"存在しない"のと同じ、そんな感覚だったのでしょう。
しかし、"完璧なマニュアル"が用意されたコンビニでは、
そのマニュアルにさえ従っていれば"普通"として受け入れてもらえる。
つまり古倉はコンビニ店員になることで初めて普通になれたのです。
ですから古倉にとってコンビニは、数少ない自分の居場所だったのだと思います。
人間である以上に
「気が付いたんです。私は人間である以上にコンビニ店員なんです。」
『コンビニ人間』より
このセリフは、物語の終盤でコンビニから引き剥がされそうになった古倉が発した一言です。
本書を読む前の私であれば、
と思ったでしょう。
しかし古倉は、自分が一体何者なのか分かっておらず、
そもそも自分を"人間"とは思っていない状態でした。
そんな中で唯一、コンビニ店員である間だけは自分の存在を明確に定義でき、
自分の存在価値をを確かめられていたのでしょう。
そんな古倉から発せられる
「人間である以上にコンビニ店員なんです。」
という言葉は、非常に説得力があると同時に、どこか切ない一言として印象に残りました。
印象的だった主人公 古倉の気付き
また,最後に古倉が発したこの言葉も私の心に刺さりました。
この手も足もコンビニのために存在していると思うと、
ガラスの中の自分が初めて意味のある生き物に思えた。
『コンビニ人間』より
古倉は一度、成り行きではあるものの、コンビニを辞め、「コンビニ店員」ではない自分を探すための一歩を踏み出しました。
しかし、ふと立ち寄ったコンビニで、コンビニ店員として生きてきた自分の体が勝手に動き出してしまいます。
その瞬間、古倉はついに自分の体そのものがコンビニのためにあるということに気付き、
自分は"人間”ではなく"コンビニ人間という動物”であると自覚したのでした。
この瞬間、初めて古倉は自分の存在意義を心から理解することができたのだと思います。
そして2つ目のコンビニを探し始めたことは、古倉の第二の人生が始まることを感じさせました。
作中にもたくさん出てきたように、世の中には人のことを職業などで見下す人がいます。
しかし私は、こうして自分の存在意義を遅かれ見つけることができた古倉を、素直に素敵だと感じました。
現実世界の人々も、それぞれがそれぞれの物語を抱えているということは決して忘れてはなりません。
自分の職業経験を振り返って
古倉は「コンビニ人間」でしたが、あなたは言うなれば「何人間」ですか?
私の場合、現時点では「何人間」と言えるほどのものは浮かびませんでした。
しかしこれまでの自分の職業経験を振り返ってみた時、例えばアルバイトの経験であれば全国チェーンのカフェで働いたことがあるのですが、もしかしたら自分も「カフェ人間」になり得たのかも?(笑)と思いました。
今振り返ってみると、カフェでレジ打ちをしたり、キッチンで調理をしたりしている間は、自分の体や意識は全てがカフェのために存在していたなと思います。
マニュアル通りにこなすことが求められ、それができればカフェが無事に回り続ける。
もしもそのようなカフェでの時間を人生の大半に充て、さらにその生活を18年間も続けていたら自分もカフェ人間になっていたかもしれません。
なぜなら、そんな生活を続けていくうちに、きっと仕事外の時間でも自分の体がカフェのためにあると錯覚してしまうと思うからです。
古倉も、仕事外の時間は「コンビニで効率的に働くために寝る」「コンビニで働き続けられるように食生活に気をつける」ということをしていましたよね。
もしアルバイトではなく社員だったら?
もしかしたらそれは、私も古倉もアルバイトというある種責任のない立場だったからであり、
社員や店長となってお店ひいては会社全体の利益まで意識する立場になれば、
マニュアル通りにやるだけではダメで、
自分なりに考えて行動しなければいけなくなるため、
"マニュアル外の自分"を育むことができたかもしれません。
この物語の後、古倉が社員や店長へと昇進してマニュアル外の自分を見つけてくれたらいいな笑と勝手に想像しました。
まとめ:読みやすく皆んなにおすすめできる一冊
この記事では『コンビニ人間』を読もうと思ったきっかけや、実際に読んだ感想・印象的な箇所についてご紹介しました。
古倉が葛藤の中で試行錯誤する姿から、私たちも日常生活や社会に存在する偏見について考えさせられるきっかけとなりました。
また、私はAudibleで大久保さんの朗読を通して楽しみましたが、文字で追う場合と朗読を聴く場合とでは感じ方が大きく異なると思います。
ぜひ、聴き放題対象本である今のうちに、大久保さんの朗読で『コンビニ人間』を楽しんでみてくださいね。
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