アドラー心理学 アドラー心理学を職場に取り入れてみた どんな本? 感想 概要

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【解説】『アドラー心理学を職場に取り入れた』はどんな本?読んだ感想!

『アドラー心理学を職場に取り入れてみた』

 

現役理系大学生のトドです!

この記事では,日本中で話題となったアドラー心理学に関する著書

『アドラー心理学を職場に取り入れてみた』

概要対象読者,そしておすすめの理由,についてまとめています!

 

アドラー心理学を職場に取り入れてみた

『アドラー心理学を職場に取り入れてみた』Amazon.com

 

本書は,『嫌われる勇気』で一躍話題となったアドラー心理学について,

それをどう実践すれば良いか?

に着眼点をおいた実用書となっています!

 

今回は実生活の中でも特に”職場”に焦点を当てており,

具体的な48個のシチュエーションを取り上げ,

それら一つ一つへの対処法を教えてくれています。

 

 

なお本書は,同小泉健一さんによる著書

『アドラー心理学を実生活に取り入れてみた』

の続編となっており,

実生活の中でも特に職場という場面に絞って新たに発表された本となっています!

 

まだ読んでいないという方は,

『アドラー心理学を実生活に取り入れてみた』について解説している,

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アドラー心理学 アドラー心理学を実生活に取り入れてみた 要約
参考【解説】『アドラー心理学を実生活に取り入れてみた』感想

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著者について

小泉健一さんはどんな人か?

著者の小泉健一さんは,

某食品メーカーで営業職として10年以上働いている傍ら,

アドラー心理学をベースとしたコーチングを行う"ライフコーチ"としても活躍されています。

 

コーチングとは,相手の「こうなりたい」という理想や目標をもとに,

対話を通してそれを叶えるためのサポートをしていく職業です。

 

そうした対話においてアドラー心理学の考え方を活用することで,

これまでに多くのクライアントの成功をサポートされています。

 

トド
小泉さんは,昔から話の聞き上手だったそうで,

「人の悩みを聞く」という自分の得意を仕事にされているんですね!

 

そんな小泉健一さんが掲げるビジョンは,

「ひとりひとりがやりたいことのできる世界を作る」

だそう。

 

それを達成するためには,

対話だけではなくて著書を通じた発信も有効であると考え,

2021年から始めた執筆活動では,これまでに10冊もの本を出版されています!

 

本書の説得力

この本の説得力について私は,

ライフコーチとして普段からアドラー心理学を用いていることはもちろんですが,

その他にもう一つの理由があると思います。

 

それは,

職場における具体的なシチュエーションを,実体験を基に取り上げていること

だと思います。

 

前項でも紹介したように,作者の小泉さんはライフコーチとしてだけではなく,

現在まで10年以上にも渡って企業に勤めていらっしゃいます。

 

さらに,職種は営業職ということもあって

人との関わりが求められる仕事を経験していると言えますよね。

 

これがただの心理学者だったら(言葉は悪いですが笑),

「職場に活かす方法!」

と言われても説得力がないですよね。

 

本書『アドラー心理学を職場に取り入れてみた』では,

職場で起こる48個もの問題それぞれに対して,

  • 作者自身の体験を踏まえたアドラー心理学的な対処法
  • 実際にコーチングでアドバイスをした際の成功事例

などが紹介されています!

 

全てを一から読まずとも,

職場に対して悩みがあるときに,

辞書のようにしてそのシチュエーションの部分だけを読んでみる,

というのも有効な使い方でしょう!

 

アドラー心理学を職場に取り入れてみた

『アドラー心理学を職場に取り入れてみた』Amazon.com

 

本の構成と取り上げられているトピックは?

ここでは,本書の構成取り上げられている具体例

その中でも私が特に面白いと感じた部分をピックアップしてご紹介します!

 

本の構成

本書では,いきなりアドラー心理学の実践法について書かれているのではなく,

きちんとアドラー心理学の基本理念について説明がされています

 

見出し構成は以下の通り。

簡単な流れ

  • アドラー心理学とは
  • 組織とアドラー心理学の関係性
  • 「人間関係」に取り入れてみた
  • 「仕事のやりがい」に取り入れてみた
  • 「マネジメント(人材育成)」に取り入れてみた

 

 

最初の第一章と第二章で,

「アドラー心理学とはどんなものか?」

「組織ってそもそも何?」

といった根本的なところを押さえつつ,

なぜ組織の中でアドラー心理学が有効に働くか?

について簡単にまとめれています。

 

その後,第三章から第五章までに渡って,

「人間関係の改善」

「やりがい,仕事の捉え方の改革」

「マネジメントの向上」

をテーマに具体的な実践方法を紹介しています。

 

具体的なシチュエーションとは?

ここでは,本書で紹介されているシチュエーションをいくつか紹介します。

 

先ほどお話ししたように,

「人間関係」「やりがい」「マネジメント」

の3つのテーマそれぞれによってシチュエーションは異なりますが,

例えば以下のような場面が挙げられています。

 

シチュエーション

・相手の反応を気にして意見が言えない(人間関係)

・リモートワークでコミュニケーションが取りづらい(人間関係)

・会社のやり方に疑問がある(やりがい)

・転職したいが辞めるのが怖い(やりがい)

・上司と部下の板挟み(マネジメント)

 

これらと実際に同じ悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。

 

私が特に印象的に感じたのは,

困ってる人
働かない・仕事をしない人がいて困る

という場合の対処法です。

 

実際,同じ職場には

「全然働いていないのに偉そうな人」「バレないようにこっそりとサボる同僚」

などが一定数存在しますよね。

それらの人のせいで,こちらの仕事量が増えたり残業をしたりするハメになる。。

 

そういった問題に対して,本書ではアドラー心理学の

「課題の分離」

によって解決できると説明されています。

 

「課題の分離」とは?

「課題の分離」では,

問題を「自分の課題」「他人の課題」に分けて考え,

自分の対処すべき部分と,自分にはどうしようもできない部分を理解することを行います。

 

「課題の分離」を理解するために

先ほどの「働かない人をみてイライラする」という例を考えてみましょう。

 

働かない人を見てイライラするのは自分ですよね。

アドラー心理学ではそれを,

「イライラすることを選択したのは自分である」

と,他人の課題ではなく自らの課題と捉えます。

 

実際,働かない人を見てもイライラしない人はいますよね。

そうであるならば,「私には関係のないこと」と,

自分にはどうしようも無いのだと理解すれば良いのです。

 

さらに私の考えですが,この場面にはアドラー心理学の「認知論」も役立つと思いました。

 

困ってる人
仕事が遅い人のせいで自分に皺寄せがくる,,

 

といった場合でも,自分の捉え方,認知の仕方を変えることが重要であり,

 

トド
逆に仕事ができない人を見ることで新しい学びがあるな。

手伝うことで自分の経験が増え,成長につながった!

 

といったように,前向きに自分の課題として捉えることができますよね。

 

そういった捉え方の問題ではなく,既に実害が生じているのだとしたら,

それは他人の課題ではなくもはや対処すべき自分の課題であり,

関係する部署や上司に報告・相談したりといった然るべき行動を取れば良いと分かります。

 

このように,「課題の分離」の強いところというのは

課題はどこにあるのかを冷静に切り分けることによって,

「ただイライラする」

という感情的な問題ではなく,解決のためにはどうすれば良いのかという

具体的な方策が見えてくることにあるといえます。

 

アドラー心理学を職場に取り入れてみた

『アドラー心理学を職場に取り入れてみた』Amazon.com

 

おすすめの読者

ここでは,実際に読んでみて

こんなひとにおすすめしたい!というもの3つを紹介します。

以下で具体的に見ていきましょう!

こんな方におすすめ

  • 職場の人間関係に疲れている・ストレスを感じている人
  • 新しいことに挑戦したいが踏み出せない人
  • アドラー心理学を知っているが実践はできていないと感じる人

 

1. 職場の人間関係に疲れている・ストレスを感じている人

職場では,上司や後輩・同期だけでなく,

社外の人なども含めて非常に多くの人と関わらなければなりません。

 

その中には,ソリが合わない人悪い印象の人

少なからず居ますよね。

むしろ,これだけ多くの人と関わっていて嫌な人がいないという方がおかしい訳です。

 

実際本書で紹介されていたデータとして,

参考

厚生労働省「令和3年 労働安全衛生調査(実態調査)」における

20歳未満から60歳以上の年代で

「仕事や職業で強いストレスとなっていると感じる事柄がある」

と回答している人の割合は53.5%と約半数に上る

ということが分かっています。

 

もし,あなたが現在職場で強いストレスを感じていたとしたら,

それはむしろ普通と言っても過言では無い比率になりますよね。

 

かといって職場の人間関係は,普通の友人関係とは違い

それを捨てて逃げることができないのが特徴です。

 

対処法は?

アドラー心理学は,逃げずに対処しなければならない人間関係を

「人生のタスク」

と呼んでおり,それらは

「仕事のタスク」「交友のタスク」「愛のタスク」

の3つに分けられると説明します。

 

このように考えると,

職場の人間関係はまさに「仕事のタスク」

であり,対処せざるを得ない問題であると言えます。

 

しかし裏を返せば,

アドラー心理学がきちんと分類しているということは

アドラー心理学によって対処可能である

ということが言えます。

 

これまで,

 

困ってる人

職場の人間関係は解決できない。

今はぐっと我慢して働き続けるしか無い。

 

と思ってきたのでしたら,その考えを本書と共に改めることができます。

 

全てを実践することは大変でしょうが,

自分に当てはまるシチュエーションだけでも

この本の知識を用いて対処してみてはいかがでしょうか!

 

2. 新しいことに挑戦したいが踏み出せない人

次にオススメしたいのが,

新しいことに挑戦したいが,現状が邪魔をして踏み出せない

という人です。

 

何か新しい物事を始めたいとき,

人は必ず対処しなければ問題にぶち当たります。

 

例えば,

  • 既存のものを捨てる・辞める必要がある
  • 周りの人に反対される・嫌われる可能性がある
  • 挑戦したことで今より不幸になる可能性もある

などといったことが挙げられるでしょう。

 

対処法は?

「嫌われる勇気」

という言葉でアドラー心理学が知られているためか,

アドバイスが

教授
勇気を出すのじゃ。

だけだと思ったら大間違いです。

 

トド
自分は読む前まで,どうせ「勇気の問題だ。」と片付けられるのだろう

と思っていました笑

 

しかし実際は,先程挙げたように

新しいことを実行しないその理由の多くは,

「人生の嘘」

であるといいます。

 

困ってる人
人生の嘘ってなんやねん!!

 

という方が居るかと思いますので,次で「人生の嘘」について解説します!

 

「人生の嘘」とは?

アドラー心理学における「人生の嘘」というのは,

様々な口実を設けて,人生のタスクを回避しようとする事態

 

という意味です。

 

つまり,先ほど挙げたいくつかの理由は,

新しい事を始めたくないために自分で作りあげた口実である

という解釈になるのです。

すなわち本心では,自分の目的は「新しいことに踏み出さないこと」なのです。

 

「新しいことを始めたくて悩んでるのに,何を言ってるんだ?」

という声が聞こえてきそうですが,

実際は本心のうちに

「現状に"不満"はあるが,新しいことを始める"不安"よりは現状の"不満"を取ろう」

と考えており,それによって口実を無意識に生み出しているんです。

 

先ほどの理由を言い換えれば,

・新しいことを始めたくないから

既存のものを捨てる・辞める必要性を引き合いに出している

・新しいことを始めるのが怖いから,

周りの人に反対される・嫌われる可能性を口実にしている

・新しいことで失敗するのが怖いから,

挑戦したことで今より不幸になる可能性を言い訳にしている。

となります。

 

これを読んでドキッとした人は,

今一度胸に手を当てて本心を考えてみましょう。

 

本書のアドラー心理学を用いた考え方は,

自分の行動に隠された真の理由や本心を解き明かす大きな手助けとなります!

 

この本を通して,新しい一歩を踏み出すきっかけになることが,

作者の小泉さんの望んでいることの1つであると私は思います!

 

3. アドラー心理学を知っているが実践はできていないと感じる人

最後におすすめするのは,

アドラー心理学を実践する具体的な方法を知りたい!

アドラー心理学の実生活との結びつきに関して理解を深めたい!

という人です。

 

著書『嫌われる勇気』が日本中で話題となって以来,

この本を手に取ったことのあるという人は多いのではないでしょうか。

 

ですが,

本の内容は面白かったがその後の人生は特に変わっていない,,

という人が多いのも事実だと思います。

 

やはり学問としてアドラー心理学を捉えてしまうと,

抽象的な考え方ばかりで取り入れにくいものとなってしまいます。

 

実践から理解へ

抽象的で理解の難しいアドラー心理学ですが,

本書で紹介されている通り,

アドラー心理学は「使用の心理学」である

と言われています。

 

アドラー心理学は「勇気の心理学」「使用の心理学」と呼ばれ,

建設的に前向きに課題を解決でき,そして実行してこそ効果が発揮される。

 

こうしたアドラー心理学の特性上,

「最初に概念を理解して後で実践してみる」

というよりは,

「まずは実生活で実行してみて,その過程で理解を深める」

というアプローチが適切であると思います。

 

トド
実際わたしも,小泉健一さんの著書を読んだ後に

『嫌われる勇気』を読んだことでさらに理解が深まりました!

 

そういった意味で,限られた読書時間を有効に使い,

すぐに効果を実感するためにもこちらの実践書から読むことを強くオススメします!

 

なお,ここで『嫌われる勇気』の概要についても知りたい!という方は

別の記事でも紹介しておりますのでぜひご覧ください!

 

アドラー心理学を職場に取り入れてみた

『アドラー心理学を職場に取り入れてみた』Amazon.com

 

『アドラー心理学を職場に取り入れてみた』読書感想文(約1000文字)

私が幼い頃,父はよく仕事の愚痴をこぼしていました。聞く耳を持たない頭の硬い上司や,何度も同じことを言わなければならない後輩など。仕事の付き合いで呑みに出かけた日の夜は特に,普段は言えない本心もお酒が手伝って溢れ出すようでした。もちろん,仲の良い同僚や後輩と余暇を過ごす楽しそうな父の姿も見てきましたが,酔っぱらったときに出る言葉というのは本音が多分に含まれているのだろうと,お酒を飲めるようになった今,より深く同情できるようになってしまいました。

そんな父を見て育ってきた私は,仕事や職場の人間関係には決まってあまり良いイメージを持てなくなりました。それと同時に,将来自分が仕事の人間関係でうまくいかなくても,きちんと逃げずに我慢せずに向き合って,そして人に愚痴をこぼすような人にはならないようにしようとも思うようになっていました。

しかし,そんなことを思っていた私はある日,ただのバイト先の人間関係でさえ,それについて友人や家族に不満を漏らしている自分に気づきます。そしてその人間関係というのは,簡単に逃げられるようなものではなく,同じ職場にいる以上付き合い続けなければならないものだったのだと,父の苦悩の片鱗も同時に実感したのです。

「なんでその人は何度も同じ失敗をするのだろう。」「なんでその人は人を傷つける言葉を使うんだろう。」自分の理解の範疇を超えた言動をする人と多く出会う中で,”なんで” と考えることはもはや無駄であり,より悩みを深刻化させる一方でした。そんな中で本書に出会い,アドラー心理学における考え方の一つである「課題の分離」に出会いました。

「課題の分離」とは端的に言うと,ある問題を「自分の課題」と「他人の課題」に分別し,「他人の課題」には干渉してはならず,また自分は「自分の課題」にのみ集中し,それに他人が干渉することは許さないという考え方です。つまり,自分は「自分の課題」にただ向き合っていればよく,変えることのできない他人という存在に悩むことはやめよ,というものです。

自分は自分の仕事を淡々とこなし,他人の失敗をカバーする必要に見舞われても,「自分の成長につながる」と認識の仕方を徐々に変えるように努力しました。他人が変わって悩みの種が無くなるわけでは決してありません。変わらず悩みの種とは日々出会いますが,それらを発芽させずに受け流す。むしろ自分の成長の糧にすることができるようになり,少なくとも周囲に愚痴をこぼすことは無くなりました。愚痴をこぼす時間こそ無駄であって,自分の悩みを自分で深刻化するだけであると,この本が気づかせてくれたからです。

 

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