この記事では、湊かなえ『Nのために』の原作を読んだ感想・あらすじをご紹介します。
この記事では、一部ネタバレがあるためまだ読んだことが無い人はご注意ください!
ドラマなどで観たことがある方にも必見の記事となっています。
ぜひこの記事で興味を持ち、実際に本を手に取ってみてください!
『Nのために』のあらすじ
あらすじ
都内にある超高層マンション『スカイローズガーデーン』の一室で、そこに住むセレブ夫妻が死体となって発見された。
名前は野口貴弘と野口奈央子。
さらに現場に居合わせたのは、20代の4人の男女。
名前は希美・西崎・安藤・成瀬。
それぞれの証言から犯人は西崎と断定され、西崎は懲役10年の刑を言い渡された。
しかしその10年後、4人の若者が事件の真相について口を開く。
- 野口貴弘 - Noguchi Takahiro
- 野口奈央子 - Noguchi Naoko
- 杉下希美 - Sugishita Nozomi
- 西崎真人 - Nishizaki Manato
- 安藤望 - Ando Nozomi
- 成瀬慎司 - Naruse Shinji
登場人物全てに共通するイニシャル"N"。
あの日彼らは、それぞれにとっての"N"のために行動していた。
なぜ夫婦は死んだのか?それぞれが想いを馳せる"N"とは誰なのか?
過去にまで遡る壮大な伏線が散りばめられた、湊かなえ初の純愛ミステリー。
湊かなえさんといえば「イヤな気持ちになるミステリー(通称イヤミス)」で有名ですが、
本作はなんと人の"純愛"を描いた湊かなえさん初のミステリー×感動小説となっています!
『Nのために』の概要
『Nのために』は、湊かなえさんによる初の"純愛"ミステリー作品です。
2010年に単行本が出版され、2014年には文庫版が出版されるとともにTBSでドラマ化もされました。
主演は榮倉奈々さんで、窪田正孝さんや賀来賢人さん、チュートリアル徳居さんなど、たくさんの豪華キャストによって映像化されています。
このドラマは当時かなりの話題となり、第一話は視聴率11%を記録するほどの人気っぷりでした。
『Nのために』の朗読を務めるのはあの人!?
そんな『Nのために』ですが、今すぐ楽しみたい方にはオーディオブックがおすすめです。
Amazonの「聴く読書」サービスであるAudibleではなんと、
ドラマで大学生の1人である"杉下希美"役を演じた榮倉奈々さんがナレーターを務めています!
実際に主役の一人を演じた榮倉奈々さんの朗読からは、
役作りの段階で原作を深く読み込んだんだろうな、
ということが伝わり、個人的にすごく物語に引き込まれました。
俳優や声優の方たちって、一人で朗読しているのに登場人物や感情によって声色を使い分けていて、
まるで一人一人別の人が声を演じているかのように思わせるので凄いですよね。
私自身、基本的に本は紙媒体で読む方が好きなのですが、
小説、特に湊かなえのミステリーに関してはAudibleで聴く方が何倍も楽しめます。
ラインナップもかなり豊富なので、湊かなえ作品を楽しみたい人はぜひチェックしてみてください!
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『Nのために』を実際に読んだ感想
ここからは、実際に『Nのために』の原作を読んだ管理人の感想をご紹介します。
ネタバレ無しでお話しするのでまだ読んでない方もご安心ください!
登場人物の作り込まれ方がエグい
まず一つ目に感じたのは、登場人物の作り込まれ方が凄すぎるという点です。
湊かなえ小説の特徴の一つとして、登場人物の複雑さが挙げられると思います。
例えば、単純に登場する人物が多いということもありますし、
最初は全く関係が無いと思っていた二人が、実は関係性を持っていることが明らかになったりといったことも頻繁にあります。
そうして物語を読んでいくにつれ、少しずつ、でも着実に
登場人物一人一人の感情や過去が繊細に物語に影響していることに気づきます。
『Nのために』ではその特徴が、湊かなえさんの他の小説よりも顕著に現れていると感じました。
あなたもきっと読み終わった頃には、登場人物、特に4人の大学生一人一人の作り込まれ方に感嘆してしまうと思います。
まるで実在する人物かと思うくらい、
登場人物それぞれの幼少期の経験や故郷での出来事が彼らの人間性に影響を与えており、
そしてそれが、どう絡み合って事件に繋がってしまったのか、
読み終わる頃には、登場人物皆に共感してしまい、そして納得してしまうと思います。
最後まで読んでやっと真相が明らかになる
もう一つの特徴は、
最後まで読んでやっと事件の背景が分かるという点です。
それは言い換えれば、
最後まで読むまで事件の真相や登場人物の想いが全然分からなかったということです。
本作品では、最初の章で警察の事情聴取に答える大学生4人の証言が明かされ、
次の章から、順番に一人称視点でそれぞれの想いが語られるという構成になっています。
初めのうちは、どうしてあんな事件になってしまったのか見当もつきませんでしたが、
読み終わる頃には登場人物みんなに共感できてしまい、
事件が起きたことも必然のように感じられてしまうのが不思議でした。
まるで事件を明らかにするために聞き込みをする刑事のような感覚で、
少しずつ明らかになっていく情報が最後に繋がる楽しさと興奮を味わえる作品です!
切ない...
最後に伝えたいのが、「この物語は切ないよ...」ということです。
登場人物一人一人の、
事件の日に考えていたことや幼少期に経験したこと、
思いを寄せていた人などが回想と共に徐々に明らかになっていく本作。
しかしそれらの思いは、あくまで一人称視点で語られるだけであって
お互いの気持ちは最後まで知らないまま終わってしまいます。
その想いのすれ違いや、気づいていたら変わっていたかもしれない運命が
読んでいて歯痒くて仕方なかったです。
この、登場人物それぞれを第三者の目線で見れる、
いわゆる”神様”の視点で物語を楽しめるのが唯一読者だけであり、
その事実がかえって、読者に切なさを与えているのだと思います。
「イヤな気持ちになるミステリー(イヤミス)」しか知らないのであれば勿体無い!
湊かなえ作品が好きなら、読んで損はない一冊だと思うのでぜひ手に取ってみてくださいね。
また、先ほど紹介したAudibleであれば、今なら30日間の無料体験ができるので、
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ラインナップもかなり豊富なので、
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『Nのために』を実際に読んだ感想・ネタバレ考察
注意
ここからは一部ネタバレを含むので、まだ読んでいないという方はご注意ください!
"N"とはいったい誰だったのか
本書『Nのために』に登場した人物6名は、全員共通してイニシャルのNが入っていました。
そして、「Nのために」とはいったい誰のことを指しているのか、
というのを常に気にしながら物語を読み進めていました。
おそらくあなたもそうだったと思います。
そうして本を読み進め、最終的に感じたのは、
「登場人物一人一人にNがいる」
ということでした。
登場人物みなの心に"N"がいて、
それらは皆んな異なり、さらにその裏には深い理由が存在する。
幼少期の体験や故郷での思い出など
、過去にまで遡ってようやくその人にとってのNが明らかになっていく。
そんな新しい謎解き体験が、本書『Nのために』の特徴だったと思います。
ここから、それぞれの登場人物同士の関係について深掘ってみたいと思います。
希美の過去
高校二年生の秋、これまで島で平和な生活を送ってきていた希美は、
ある日突然、父とその愛人によって母・弟と共に家を追い出されます。
父の言い分は
「俺の寿命は残り短い。だから後の人生は俺の好きな人と好きなように生きる。」
という自分勝手極まりないものでした。
本当に病気などで寿命が短いとわかっているならまだしも、「親父も祖父も50歳になる前に死んだから自分も」という全く根拠のない言い分を持ち出してきたことに衝撃を受けました。
自分は親になったことがないので想像でしかありませんが、自分なら自らの欲望や贅沢を我慢してでも子供に幸せな生活を送らせたいと思う気がします。
父だって好きなように生きたい、というのはもちろん分かります。
しかしだからといって家族を追い出して愛人を迎え入れるというのはあまりに飛躍した行動のような気がしました。
ただ、本当に希美を苦しめたのは他でもなく母でした。
追い出されて以来、母は仕事もせず料理や子供の世話などもせず引き篭もるようになります。
母にとって、追い出されたことは相当なショックだったとは思います。しかしそれでも、子供と一緒に追い出された以上、その子供を育てなければならないという使命感を多少なりとも感じるのが普通ではないでしょうか。
これまで甘やかされて、裕福な暮らしをしてきた母にはそれは酷だったのかもしれませんね。
希美にとってのN
そんな息苦しい日々を一生懸命生きてきた希美ですが、弟が進学のために島を出ていき、母と二人で暮らすことになって徐々に限界が訪れました。
家では母のわがままと半狂乱に苛まれ、学校では周囲から嘲笑の目に晒され、希美は逃げ場のない日々を送っていました。
そんな中で唯一希美が落ち着くことができたのが、成瀬くんの後ろの席でした。
大きな体格でたくましく、周りからの悪口なども受け流す成瀬。
そんな成瀬の大きな背中に隠れることができた成瀬の後ろの席が、希美にとっての安らぎの場だったわけです。
また、希美は前の家や母のことを記憶の中で燃やすようにして、火をつける空想をしていました。
そんなある日、成瀬の実家の料亭が火事で燃えており、希美はそれが成瀬による放火だと勘違いしました。
そして希美は、「成瀬くんが火をつけてくれたんだ」と思い、成瀬への感謝と愛の気持ちが募るようになりました。
希美にとってのNは成瀬くんだったのか...
私だけでなく希美自身もそう思っていましたが、
実は過去に囚われた希美を本当に救ったのは、ゴンドラでビルの最上階からの景色を見せた安藤だったのです。
安藤の見せた遠くの海の景色が、島での思い出のちっぽけさを感じさせ、おそらく希美は吹っ切れた気分になったのだと思います。そして、希美は安藤の将来を守りたい、応援したいと思うようになりました。
そしてあの日、
希美は安藤が外からチェーンをかけたことを知っていましたが、それを供述せず隠し通すことを選んだのですね。
安藤にとってのN
そんな安藤ですが、彼にとってのNもきっと希美だったのだと思います。
実際に本を読んだ人に聞きたいのですが、安藤がチェーンをかけた理由はなんでだと思いますか?
私自身は、希美と西崎しか知らない"何か"があることを知った安藤が疎外感を感じるとともに、
思いを寄せていた杉下の気持ちを試そうとしたのでは?と思います。
というのも、もしチェーンがかかっていて外に出れないとなった時、希美は外にいる誰かに助けを求めなくてはなりません。
その時希美が自分を頼るのかどうか、
それを安藤は確かめたかったのだと思います。
そんな希美と西崎の計画に巻き込まれたい、関わりたい、という気持ちや、
自分を必要として欲しいという気持ちがチェーンをかけるという行動につながったのではないかと感じました。
しかし結局、チェーンを開けたのは成瀬であり、希美は安藤に対して助けを求めることはありませんでした。
それは希美が、将来のある安藤を事件に巻き込みたくないから、安藤を応援していたからだったのに、安藤はそれさえも知ることなく、自分に助けが求められなかったこと、疎外されたことを悲しむことになりました。
安藤と希美の互いを思う気持ちがすれ違ってしまい、とても切ない気持ちになりました。
西崎と奈央子にとってのN
西崎にとってのNは他でもなく奈央子です。
彼の過ごした幼少期と、そこで母から受けた歪んだ愛の形。
それを表現した『灼熱バード』を唯一受け止めてくれたのが奈央子でした。
しかし受け止めてくれていた"はずだった"というのが正しい表現で、
実は奈央子は西崎の古傷もただの「汚いアザ」としか思っていなかったことが明かされました。
西崎にとってこれほど辛いことはないはずです。
それなのにあの日西崎は奈央子を救うことを諦めず、奈央子が旦那を殺してしまった後でさえその罪を被ろうとしました。
結局、奈央子にとってのNは夫の野口貴弘だったんですね。
客観的に見ればあれほどまでに酷いDVを夫から受けていた奈央子なのに、希美が夫と親密にしている様子を見て、夫が奪われるのではないかと恐れていました。
おそらく奈央子にとって最も恐ろしかったのは、
旦那から暴力を受け、檻に閉じ込められたような生活を送ることよりも、
自分より若い杉下希美という女性に夫が奪われてしまうことだったのでしょう。
だからあの日、奈央子は夫を自分のものにするために自らの手で殺害し、
そして自分をナイフで刺し、夫と一緒に寄り添って死ぬことを決めたのだと思います。
奈央子にとってのNはあくまで夫の貴弘だったということですね。
まとめ:湊かなえ初の"純愛ミステリー"を楽しみたい人におすすめ!
この記事では、『Nのために』の概要・あらすじと、
実際に読んだ管理人の感想をご紹介しました!
本書では、各章にわたって登場人物一人一人の第一人称視点で事件の真相が語られていきましたが、
それぞれの心情についてはハッキリと述べられる部分が少なく、
考察の幅がある物語だなと感じました。
湊かなえ特有の、「イヤな読後感」が控え目となっていた本作は、
ミステリー好きだけでなく、純愛ストーリー好きな読者にもおすすめできる一冊となっています!
ぜひ手に取って、自分なりの考察をしてみてください!
また湊かなえの必ず抑えておきたいミステリー8選もこちらで紹介しているので、ぜひ併せてご覧ください!
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